リアル鬼ごっこを見た

石田卓也谷村美月主演『リアル鬼ごっこ』を見ました。
原作は物凄いトンデモ本だと聞いていますが、映画は上手くまとまっている印象。表題のリアル鬼ごっこは、原作だと1週間続くそうですが、映画だと5日目から始まって映画の前半で終了(笑)。そこから先のパラレルワールドの話がとても良かったです。レジスタンスのリーダー格となった谷村さん演じる愛の「パラレルワールドは無限にあるのよ」というセリフはエヴェレットの多世界理論の本などをつまみ読みした者としてはワクワクさせられますし、ラストのショットが非常に印象的で続きが気になります。続編は「リアル隠れんぼ」ですかね。でも完全に原作を逸脱してしまいますし、何よりもこの規模の映画で近未来の革命の話を描くのは予算的に無理でしょうね。今思い出してみれば、格差社会とかマスコミによる情報操作とか、色々な隠喩が作中に盛り込まれていたような気がします。
セリフ回しが変だとか、設定にどうやら矛盾点があるようだとか、いくらなんでもセットが安っぽすぎるとか、そういう細かい点を除けばかなり楽しめる作品でした。
何よりも1人3役という、谷村さんの演技力が最大限生かされている作品だったことが、ファンとしては嬉しいです。
その他気になった点は以下の通り。
VFXにタイのスタジオが参加していたが、よほど予算が少なかったのか
石田卓也の学生役はどうも無理があるようで、『蝉しぐれ』の武士役が懐かしい
・グロ描写は全年齢対象の映画にしてはきつめ。血が少なければOKなのか?
大東俊介は「花君」以外で初めて見たが、カッコイイし演技もそつなくこなしていて好印象。しかしこの映画が撮影された2006年の段階では今以上に無名だったはずで、それを発掘した柴田一成監督には改めて頭が下がる
吹越満の1人2役も良かった
KOTOKOという人か歌っているこの歌の主題歌はもともと6分ぐらいある長い曲なのに、劇中バージョンはスタッフロールが短いのでそれに合わせてカットされていたのが、低予算を物語るようで切ない
・名古屋のセンチュリーシネマというところで見たが、ここの映画館は他所より100円高い。しかし収容人数が少ない割にスクリーンが大きく椅子も大きかったので文句はない
・スタッフもそんなに売れっ子はいないが、音楽だけ岩代太郎。今回も良い仕事をしてます
・舞台挨拶の写真を見ると監督が9頭身。
・何度でも書くが谷村美月が本当に上手い。同年代であれだけはっきりと演じ分けができる俳優はほとんど見当たらない