ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

黒沢清がどこかで「困るけど悩まない主人公が良い」というようなことを語っていたが、この映画に出てくる子供たちは悩むけど困らない。運命に翻弄されながらも、強く生きようとする。物質的には満ち足りていながらも悩みの尽きない現代人の心理を上手く昇華させていると思った。
まあ、こんなことが頭に浮かんだのは映画を見てから随分経ってからのことで、映画を観ている最中は「使徒カッケー」とかそんなことばかりです。生物とも機械ともわからないあの雰囲気。巨大なのに物理法則を無視しているかのようなあの動き。2Dアニメでキャラクターだけ3Dになるのはあまり好きではありませんが、これは3Dの特質をかなり上手く生かしています。
個人的に、「序」の「あたしが守るから」という綾波レイのセリフにグッと来たのですが、今回はそういうのがなかったのがちょっと残念。アニメ的なエロにはちょっとついていけないのです。