出口のない海 60点

まあよくできた佳作だと思ったけど、特撮シーンが酷い。
カメラマンは北野武監督作品などで3度の日本アカデミー賞に輝く柳島克己氏で、特に目新しい映像表現はないものの、誰にでも見やすい映像が作られていた。潜水艦の"中"の狭さもよく表れされていた。しかし、問題は潜水艦の"外"をはじめとするVFX関係だ。いくらなんでも陳腐すぎる。テレビドラマ並みだ。CGはCGと丸わかりだし、ミニチュアはミニチュアだと丸わかり。賛否両論を呼んだ『ローレライ』にさえ到底及ばない。陸上のシーンも、建物から出る煙でさえ満足にできていないし、近景と遠景もクッキリ分かれているのがわかってしまう。クレジットを見るとVFX関係のスタッフの少なさが目立つ。『人間ドラマを柱にした映画だから、映像にお金をかけなくていいだろう』という製作陣の安直な考えが目に浮かぶ。確かに、良いドラマは見させてもらったが、良い映画には良い映像も必要だ。VFXを引き立たせる必要がたとえ無いとしても、その陳腐さのせいで逆にそのシーンが目立ってしまっては元も子もない。この安っぽさが東宝の『ローレライ』や東映の『男たちの大和』にはない松竹の限界なのだろうか。