ドラゴンヘッド

 妻夫木聡SAYAKA出演の非常時の食糧問題について考える映画地球壊滅後の日本を舞台にした映画。20億円という日本映画としては多い予算を使って、ウズベキスタンに大型のセットを建設したりした、いわゆる"邦画の"大作というヤツです。
 ストーリーを追いかけてみると・・・・・・
 まず妻夫木クンがぶっ倒れています。どうやらここは新幹線の中。車内はグチャグチャで、どうやら事故のようです。やっとの思いで妻夫木クンは車外に出ます。ここまでで5分。
 そして彼はここがトンネルの中だと知り、ぼろぼろになった新幹線の車体の横を、とぼとぼ歩いていきます。ここまでで10分。
 そして、再び車内に戻り、山田孝之クンと出会うわけですが、どうやら彼は少し気が違っちゃってるみたいです。彼を避け、再び車外に出てSAYAKAちゃんを発見。ここまでで15分 彼女もどうやら山田クンを避けてきたようです。
 そしてその後再びキチガイ山田クンと出会い、新旧ウォーターボーイズ対決!
 妻夫木クンとSAYAKAちゃんは勝利して、パイプを伝ってトンネルの外に出て、世界が壊滅状態にあることを知ります。ここまでで35分。
 は? 世界滅亡の映画なのに、世界が滅亡したことを知るだけに35分? それはつまり、「ターミネーター」で、カイル・リースがサラ・コナーを説得するのに35分間延々と語るようなものじゃないか?
 その後、2人はほかの人とも出会うのですが、みんなキチガイです。
 自衛官である藤木直人さんらにも出会うのですが、彼も例外なくキチガイで、勝手に現れて勝手に死にます。要するにみんなキチガイなので明確な悪役は不在なわけです。そして、東京の地下に非常事態用の食料が蓄えてあると知り、そこへたどり着くのですが(ここまでで100分。本当に長かった)、実はこの食料は恐怖などの感情を麻痺させる働きがあり、それを食べた人はみんな死ぬことを恐れず、悲しまずに廃人になっているのでス。
「こんなもの食っちゃいけねぇ」
 と妻夫木たちは倉庫の外に出て、突如現れた巨大火山を目の前に
「絶対に生きるぞー!」
 とわけのわからないことを叫んで映画は終わります。
 上映時間や悪役不在のことについて散々突っ込んできましたが、別に上映時間が長く、ストーリーに起伏がないことには突っ込みません。問題は、そのほかのことに焦点をあてられなかったことにあります。焦点といえば、豪華なセットや日本映画にしては派手なVFX。本来そういうものは、映画の脇を固める裏方のものであり、それだけが表に出ていては、到底映画として成立するはずがありません。
 また、役者の演技もひどかったです。藤木直人は毎度の俺様芝居。主演の妻夫木とSAYAKAは猿芝居、いや、猿の芝居のほうがまだ楽しめるくらいのひどい演技。男も女もキャーキャー叫んで、泣いて、コケて、ラストじゃ妙に強がったりして。
 とにかく、今まで見た映画の中でワースト10くらいに入る映画。自宅のテレビが壊れては困りますが、映画館でしたらスクリーンに醤油をかけたくなるような出来です。
 ちなみに最初の2分くらいは楽しめます。オープニングムービーがカッコイイから。
 採点:10点