リターナー

 以前、ビデオで見たことがありますが、テレビで放映されたので見てみました。
 改めて、オリジナル性のない映画だなあと。。
 山崎貴監督は、さすがにVFX出身だけあって、CGの使い方が非常にうまい。
 擬態宇宙船のアイディアなんかもさすがだ。
 近頃のCG多用邦画のひとつに、制作費20億円(邦画としては大作に入るが、アメリカ映画と比べたらまだまだ低予算)の「スパイ・ゾルゲ」があるが、あれは70過ぎの爺さんの引退作品だけあって、CGの使い方なんて何も研究していない。
 CGは現実に再現できな世界観を、映像を通して広げるためにあるのだが、「スパイ・ゾルゲ」では逆に、撮影面での制約から世界観が小さくなっている。あるいは、本来ならセットで何とかすべきなのだが、そのような予算がないので、仕方なく背景もCGを多用している。本来なら、このようなシーンは省くべきなのだが。
 「リターナー」の場合、6億円程度であれだけできるのだから、大したもんだと思う。
 低予算なので、CGの使用箇所を厳選し、CGでカバーできないシーンは最初から入れていない。
 ただ、問題なのは監督としての技量。
 脚本・VFX・編集など、いろいろなところに手を出しすぎて、肝心なドラマ面で失敗しているような気がする。
 デビュー作「ジュブナイル」は、お子様向けの映画だったので、それでも楽しめたが、このようなハードボイルド系のSFを満足に作るのには、それなりの技量がいるらしい。
 何はともあれ、邦画界でCGを使いこなせる数少ない人材なので、今後の映画制作に期待しましょう。