菊次郎の夏

 ビデオを借りて見ました。
 北野映画では珍しく人を殺さない映画ということで、少し気になっていました。
 ストーリーは、父親が事故で死に、母親は遠く豊橋に住んでいる浅草の男の子 正雄が、夏休みに家出をして豊橋のお母さんのところてまでビートたけし演じる菊次郎と一緒に行くという物語です。
 見始めてすぐ感じるのが、これ以外の北野映画にはない"爽やかさ"があるということ。
 北野ブルーと呼ばれる独特の映像からは、夏の暑く、それでも爽やかな空気がにおいさえも伝わってきます。
 音楽は久石譲が担当していますが、このテーマ曲がトヨタのCMに使われてしまったので、そちらのほうの印象が強いのが残念です。
 後半、旅の道中で出会った大人たちと菊次郎、そして正雄が河原で遊ぶシーンがあります。 だるまさんが転んだをしたりターザンごっこをしたり、大人も子供も関係なしに無邪気に遊んでいる様子が微笑ましいです。
 途中、何度か海が出てくるのですが、どうやら私の家から車で30分ほどのところだそうです。
 実際行ってみて確かに綺麗な海ですが、北野監督は実際に見るよりずっと綺麗に撮影してくれてあります。
 北野映画としては珍しく、ほのぼのとコミカルに、そして少し切なくまとめられていた本作。
 日本の夏をここまで美しく撮っている作品も珍しいのではないでしょうか。